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2018年05月16日

6月中旬発売|新しい植物分類体系−APGで見る日本の植物

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新しい植物分類体系
APGで見る日本の植物

伊藤元己・井鷺裕司/著
A5判 176ページ 定価(本体2,400円+税)
2018年6月中旬発売
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もうカエデはカエデ科ではない?! ヤドリギはヤドリギ科じゃない?!
21世紀に入ってから出版された図鑑に採用され、熱心な野生植物ファンをまどわせている「APG分類体系」っていったい何? なぜこんなことになったのか、どんなふうに変わったのか? 分類学、系統学の専門家がすっきり解説。巻末には便利な新旧対照表を収録。

APG = Angiosperm Phylogeny Group = 被子植物系統グループ/被子植物系統作成グループ

この分類を実行する植物学者の団体。この分類は特に命名されておらず、「APG体系」や「APG分類体系」などと呼ばれる。

バックストーリー
 生物の学名は、図鑑によってちがっていることがあります。学説によって、どこまでを同じ種と考えるかの認識が違うことがあるため、図鑑の執筆者が採用した学説が異なれば、学名も違ってきます。同じことが、「どのグループをどの属(種の上のまとまり)に、どの属をどの科(属の上のまとまり)に含めるか」でも起こります。こうした学説の違いは、「植物の進化はどのように進んできたか」、すなわち生物の系統を解明しようと奮闘してきた系統分類学研究者の情熱から生まれたものでした。

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 20世紀の植物図鑑では、「新エングラー分類体系」か「クロンキスト分類体系」とよばれる学説が多く採用されてきました。この2つの学説は、いくつかの違いがありますが、大筋では一致しており、複数の図鑑を比べて見るような熱心な植物愛好者以外には、戸惑うことは少なかったのです。

 20世紀の終わり、生物学の研究者たちは「DNA解析」という強力な道具を手に入れました。これはやがて、DNAという物質の中に残された進化の痕跡をすくいあげる技術に発展します。かれらはついに、進化のみちすじを解明する「物的証拠」を手にしたのです。

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 これを系統分類学が放っておくわけがありません。世界の植物学者たちは協力して、DNAによる被子植物の系統の解明に取り組みました。その結果生まれたのが、「APG分類体系」です。技術の進歩にともない改訂されてきたこの体系は、2009年のAPG IIIを経て、2015年のAPG IVがほぼ決定版と考えられています。

 これによって、かつての系統分類学者が、花や芽、種子の中身などを段階的に調べる、化石と比較する、など多くの努力により「状況証拠」を積み上げてつくりあげた分類体系は、かなり正確だったことがわかってきました。しかし残念ながら、かれらが判断しきれずに暫定的に扱っていた植物群を中心に、科の内容が大きく変わるところが出てきました。そのため、21世紀になってから新しく出版された図鑑では、これまで使っていた図鑑とは科の配列が異なる部分が多数あるのです。

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 そうした図鑑をうまく使い、またこれまで愛用していた図鑑との対応をしやすくするために、わたしたちはこの本をつくりました。また、「系統」を意識することで、植物の特徴を進化の歴史と照らし合わせることができるようになり、野生植物の観察が一歩も二歩も深まるのも楽しいところです。この本の三、四章で紹介しているネタは、京都大学の講義でも使用されていたものなのですが、植物の好きな人なら理解がむずかしいものではなく、むしろすっきりするようなストーリーです。観察をしているときにちょっと思い出すと、見慣れた植物たちが歩んできた長い長い時間の流れを垣間見るような気持ちになれるでしょう。

posted by 文一WEB担 at 17:53| Comment(0) | 専門書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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