日本のクワガタムシハンドブック



日本のクワガタムシハンドブック

横川忠司/文・写真
新書判 80ページ 定価(本体1,400円+税) 2008年7月18日発売
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日本のクワガタムシのすべてが分かる。コンパクトな最強図鑑
日本産クワガタムシ37種すべてを掲載。ノコギリクワガタなど身近な20種は大きな標本写真で特徴を分かりやすく示し、識別の難しい雄の小型個体や雌ももう迷いません。形態だけでなく、習性や行動も解説します。また話題の新種タカネコルリクワガタは他書にない情報量。採集や飼育についても紹介し、この1冊でクワガタムシのすべてを楽しめます。夏と言えばクワガタムシ、子供から大人まで必携です。

サンプル見本
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contents
はじめに
この本の使い方
クワガタムシの特徴・各部の名称
用語解説
クワガタムシの生息環境
各種の解説
オオクワガタ/コクワガタ/ヒメオオクワガタ/アカアシクワガタ/スジクワガタ/ヒラタクワガタ/ノコギリクワガタ/ミヤマクワガタ/オニクワガタ/ネブトクワガタ/チビクワガタ/マメクワガタ/ルリクワガタ/ホソツヤルリクワガタ/コルリクワガタ/ニセコルリクワガタ/ルリクワガタ属(解説)/タカネコルリクワガタ/マダラクワガタ/ツヤハダクワガタ/マグソクワガタ
南西諸島のクワガタムシ
対馬のクワガタムシ
伊豆・小笠原諸島のクワガタムシ・クワガタムシの生態
成虫の採集方法・飼育方法
標本の作製方法
外来生物としてのクワガタムシ
日本産クワガタムシ一覧表1
日本産クワガタムシの標本一覧
日本産クワガタムシ一覧表2



書評されました[学研むし 2008年9月号 No.451 P51. 今月の本]
 正直なところ、「今さら、どうしてこのような日本産クワガタムシの図鑑を出版するのか?」という思いを抱きながら本書を手にした。しかし、それは杞憂に終わった。中身を見て「なるほど、それなりに出版意義があるわい」と納得する部分もあって、少し安心した。著者は九州大学大学院の研究生。
 本書の特徴として挙げられるのは、まず種の扱いを大きくとらえていることもある。南西諸島のタテヅノマルバネクワガタ類はNeolucanus maximus1種として扱い、八重山のノコギリクワガタは台湾のタカサゴノコギリクワガタProsopocoilus motschulskyiと同種としているなど、最近の主流ではない扱いをしている点が挙げられる。私もどちらかと言うと、いくつかの分類群で種を細分化することに賛成できない部分があるので、著者の今回の扱いも「まあ良しか」という気持ちになる。
 そして、話題のルリクワガタ属。昨年、新種記録された「タカネルリクワガタ」の和名は「タカネコルリクワガタ」として紹介され、和名と本種をめぐる一連の対応の理不尽な点についても指摘している。ニセコルリクワガタも昨年、3種に分けられたが、本書では従来どおり1種として扱っている点も、先月のこのコーナーで紹介した学研のニューワイド図鑑と同様である。たはりクワガタの世界では、新提案はよほど説得力のあるものでない限り、コンセンサスを得られないのだろうか。
 そのほかでは、イオウマメクワガタかその近縁種が母島に分布する記述があるなど、じっくり読む価値がある。巻末の日本産クワガタムシ一覧表と標本一覧は、観音開きになっていて、面白い作りである。ハンドブックなので割方感は拭えないが、オリジナリティのある内容の出版物であり興味のある人は入手するとよいだろう。
 気になった点も記しておこう。6ページの各部の名称で、clypeusに該当する日本語を「頭楯(頭盾)」でなく「頭楯板」としているのは、いただけない。また、ハンディな図鑑なので止むを得ないことだが、文字が小さくて老眼の中年~老年の虫屋には扱いづらい点も書き添えておきたい。
(谷角素彦)

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